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【 第一話: くの忠という男 】
彼が今、生きていたら、この令和の日本の現状をどう見るだろう。
この新型コロナウイルス禍において、どんな政治手腕を彼は発揮してくれただろう。
彼のことを思うと、そんなことをふと考えてしまう……。
このお話は、私のお祖父ちゃん、お父さんから伝え聞いた、田中角栄と共に、同じ時代を駆け抜けた、一人の政治家の物語である。
彼の名は、『久野 忠治』。
第64代、65代の内閣総理大臣、『田中 角栄』内閣で、郵政大臣を務めた男だ。
田中角栄と久野忠治は、当時、盟友と言われていた。
二人とも、非常に共通点が多いのだ。
見た目のどっしりとした体系や、一見やさしそうな顔をしているが、ここぞという時には鋭い眼光で物事に対処する一面を持つ。
二人とも次男で、低学歴(田中は高等小学校、久野は中学校卒)、土木建築関係の仕事で社長を務め、共に成功を収めている。
最初の衆議院総選挙で、二人とも落選しているのも、何かの偶然だろうか。
そして、言わずもがな、二人とも豪腕、豪傑で、時に大きなお金を動かす力を持っていた。
その共通点の多さが、二人をより近づけていたのかもしれない。
彼のことを政治家や地元の人たちは、親しみを込めて、『くの忠』と呼んでいた。
これは、そんな彼の物語である。
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