【私たちからあなたへ】

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【私たちからあなたへ】

便箋と結婚式の招待状を封筒に入れる。 メッセージは、二人で一晩かけて考えた。 短いフレーズの中に入れたい気持ちが多すぎて思った以上に時間がかかった。 封筒に切手を貼ろうとしていた祥子が、突然言った。 「この歌って、財津和夫さんの『切手のないおくりもの』だよね? 切手貼らずに送ったら届かないかな?」 僕は思わず苦笑いをする。 結婚式の招待状が着払いでなんて聞いたことが無い。 「呆れるんじゃなくてツッコむとこ」 そう言って、祥子は笑顔で切手を貼る。 「来てくれるかな?」 「来てくれるといいな」 そんな会話をしながら、近所のポストに投函した。  私たちからあなたへ  この歌を届けよう  心優しい親友夫婦に  お礼代わりにこの歌を ──完──
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