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「いいの、分かってる。もうこの話は止めましょう。興奮すると傷にも響くわ。今はゆっくり寝て。オーケー?」  ここで死なれたら殺せないだろ。私は心の中で呟いた。ダリルは充血した目で慈しむように私を見て数回ゆっくり頷く。 「ああ……分かったよ。ありがとう」  私は口角を上げて笑みを作ると、リビングのソファへ戻った。  テレビは無いが、周囲の音楽や生活音がテレビの様なものだ。これがここの静寂ってやつだろう。私はぐたっと身を倒す。そしてダリルと出会った日、つまりは両親が死んだ日を思い返した。復讐心を絶やさぬためにだ。  ダリルは四日前に私の両親を殺した強盗メンバーの一人だ。その日、私は誕生日だった。お祝いとして、高級レストランで食事を済ませ帰宅すると、父はプレゼントがあると言ってリビングを出ていった。リビング出てすぐの階段裏にある倉庫に行った様子だった。  私と母はリビングでコーヒーを嗜み、父の戻りを待っていたが突然バタバタと音がしたため、母は様子を見に行った。その後、悲鳴が聞こえて銃声が数発。
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