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宝だと?
そんなもの聞いたこともない。
何度かその例の村や街には行ったが領主がそこまで言うほどのお宝は知らない。
「その宝というのは」
「存在しません。どこからそんな情報が出たのかは知りませんが村に宝と言えるようなものは存在しないのです」
宝がないのなら盗賊をやっつけるだけでは埒が明かない。
この村に宝はないと言って聞くような連中でもなさそうだし、これは噂を流した張本人に直接言って取り消す方が早そうだ。
「なら俺たちは何をすれば...」
「それでしたらそちらの方に聞くと分かりますよ」
女性は俺を指さして言う。
考えていることは一緒だということだろう。
「どうしてヘイトが......」
「俺の考えたことが彼女と同じだからでしょうか。後で説明しますよ」
「申し訳ありませんが先に彼と二人で話をさせていただいてもよろしいでしょうか」
「はい。俺たちは外で待ってます」
四人は家の外に出て中は彼女と俺の二人きりになった。
「まずは私の本当の姿をお見せします」
本当の姿......。
何か写真のように頭の中に流れてきた。
ああ......そうだ、確かに彼女を見たことがある。
前に一度だけ。
こんなに少しの時間じゃあ忘れてるよ。
顔はそのままだけど服が変わりすぎてて気づかなかった。
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