転生

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転生して一週間で思った。 周りの人のステータスが常時視界に入ってきてうざい、と。 初めこそは新鮮でゲーム感覚でよかったものの、毎日見続けるとさすがに飽きてくる。知りたくない情報まで目に入ってうんざり。 1歳や半年と言わず、ひと月ですでに嫌だった。 この場所は人が多くて嫌だ。 「明日は母上の部屋まで迎えに行きますね」 「待ってるわ!」 嵐のように忙しない人だな。 母親の頼みを無視する子供なんていないだろう。 翌日 「おはようございます」 昼前には目的の場所に着きたいと思い、少し早めに迎えにきた。 今日は現魔王である父が人族がいる街へと視察に行っているため、あまり遠くへ行くことが出来ない。 何かあっても助けに来てもらうことができないから。 「おはよう。さあ、行くわよ」 母も準備が終わっており、すぐに出かけることができた。 目的地は城の裏側にある大きな丘である。 周りの景色は魔族の土地ということもあり、空が一年中雲がかかったように薄暗い。 太陽を拝んだことがここ10年で一回もない。つまりこの城から離れたところに行ったことがない。 「母上」 「何?ヘイト」 「見てもらいたいものがあります」 それは俺が10年かけて完成させた魔法だ。 魔法の世界だからといって全てが発展しているわけではない。 今まで生きてきた人たちが残した魔導書などがある。それに従って魔導士は魔法を習得していた。 そのため、魔導書に頼りきった現代の冒険者には、魔法を新しく生み出すことが困難であると考えられている。 だが、俺は魔法の研究や修練を重ねついに完成させた。 魔法とはイメージ、組み合わせたり力の加減で無限に作り出すことができる。 今からするのはこの世界では俺しかできないだろう。 少なくともこの領地に住んでいては誰もみたことがないようなものだ。
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