転生

8/8
前へ
/91ページ
次へ
やりたいことを終え、昼食をとることにした。 魔法があるということはもちろん空間魔法もあるわけでその空間から取り出す。 これはとても便利で収納した時の質のままで取り出すことができる。 朝母上を迎えに行く前に厨房に寄って城の料理人に作ってもらった。 しばらくして昼食を終えてから母と話した。 父のことやこの国、この世界など様々なことを話した。 冒険者だった母上の話は面白くとても有意義な時間となった。 時間が経つのは早く城に戻った時だ。普段は静かなこの城にたくさんの人が走り回り忙しない様子で、たまたま目の前を通り過ぎようとしていた父の家臣の人に聞いた。 「何かあったんですか?」 「ヘイト様、ビスタル様が危険な状態で戻られました」 「父上が・・・・・・」 さらに聞こうとした俺を置いて母が走っていってしまった。急いで俺も追いかけた。 父の寝室であろう場所には十数人もの人が険しい顔で、ベッドの上で苦しそうに横たわる父を見つめている。 父上専属の主治医である人物に聞いてみた。 「ビスタル様が深傷を負っているので大変危険な状態です」 「何があったのですか」 「私たちがビスタル様と視察へ行っていたとき突然勇者が現れたのです。そして勇者と戦われましたが、急なことに準備が整わずこのような結果となってしまいました。どこから情報を得たのか数百の兵士に取り囲まれ私共を守りながら戦われたのですが多勢に無勢、しまいには応援を呼ばれやられてしまいましたビスタル様を抱え何とか逃げました」 後ろから兵士の人が詳しく教えてくれてなんとか状況を理解することができた。 「しかしビスタル様のこの傷はただの傷ではありません。魔王が勇者の剣で斬られたため、回復魔法が一切効きません」 今言われた内容は一度書庫で、勇者に関する本を読んだ時に見たことがある。 勇者が使う剣は特殊で遥か昔、この世界に落ちてきた未知の鉱物で作られたものだと。 そしてその剣は勇者にしか使うことが出来ず、さらに勇者と反する魔のものにしかダメージを与えることができない。 魔族も然り。 魔族と多種族とでは魔力の質が違うためだ。 また勇者にしか適性がなかったため、魔王にとっては呪いも同然なのだ・・・・・・と。 皆なす術なく、魔王の回復力を信じ見守るだけとなった。 数日後、抗う術なく父は消滅し新たな魔王として俺が選ばれた。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加