勇者の存在

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勇者を見つけるとちょうど戦っているときだった。 「はあっ!」 ザシュッ おおっ、一撃・・・・・・と感心したいところだがやられたのは弱いやつだからな。 今勇者が倒したのは魔物の中で一番弱いやつだ。 あらかじめ言っておくが魔物と俺たち魔族というのは全く違う生物だ。 魔物は突如として出現し、感情を持たず、ただ自分たち以外の種族を襲うようにこの世界では設定されている。 魔族が批判されているのは魔物を生み出しているのが魔族だと考えられてらいるからだ。実際そうでは無い。 父上が勇者に殺されたのだってそのせいだ。魔王を殺せば魔物が襲うことはなくなるとか思ってる奴ら。 勇者のレベルはまだまだ100には満たしていない。 俺のところにたどり着くのは遥か先の未来だな。 一旦城に戻り、どうするべきかをかんがえる。 強くなりすぎた俺に、ましてや魔王に、敵が一人もいないというのは面白くない。 魔王はゲームで言うところのラスボスだ。そんな気持を味わうのも悪くない。やはり最終回は勇者対魔王で決まりだな。 そして一つの方法を思いついた。 急遽城で会議を開く。 参席者は魔王である俺とそれから俺を慕ってくれる臣下たち。 「早速本題にはいるが、俺はしばらく城を離れようと思う。それにあたって信頼をおける人に代理を頼みたい」 静かだったこの部屋がざわつき始める。 「何故城を離れるのですか!あなたはこの国の王です。王なくして民は生きられません」 「落ち着いてくれ。先程この目で勇者を見てきたがあれはあまりにも弱すぎる。だが素材は悪くない。よって俺が直々に育ててやろうと思ってな」 「それは魔王様が強すぎるからですよ」 そうは言っているが、ここにいる者は強者ばかりだ。 普段仕事ばかりしていても強さは一級品。 武器を持たせなくても魔法で全てを解決できる。 「俺はここを任せるくらいに貴方たちには信頼しているつもりだったが」 「魔王様・・・・・・」 「それではここは私がお受けいたしましょう」 名乗りを挙げたのは父の仕事を一番近くで手伝っていたレギアだ。
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