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それから10年が経ち、10歳となった。
「ヘイトー!」
「母上、走ったら危ないですよ」
後方から母が走ってきた。
「私はヘイトと一緒に何かしたいのに、ビスタルの仕事の手伝いばかりじゃない」
「もぅ」と言いながら拗ねたような顔をする。
俺はこの国、この世界のことをこの10年でたくさんのことを覚えた。
魔族が暮らすここら一帯の他に、ふつうの人間や母のようにエルフ族など様々な種族の土地が世界中にあること。
早いうちから勉強や、この世界に存在している魔法に関することなどを覚えたことによって、父から認められた。
今ではこうして自分から手伝わせてもらっている。
「俺は母上が心配なんです。それに言ってくれれば時間くらい作りますよ」
「それじゃあ、明日は一緒にどこか出かけよう」
「わかりました」
「それから、その時は顔につけている布を取ってきて」
「ん〜、それはダメです」
母が言った布とは俺が7歳の時に自分で開発した魔道具のこと。
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