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「さあ、お入りください」
中はテーブルに椅子、暖炉、普通の家と何ら変わりない。
それぞれ座れるところに座る。
「ではまず自己紹介を。私のディネアと申します。元は弟と二人で暮らしていましたがある時弟は家を出ていってしまい今は一人で暮らしています」
「ディネアさんはどこかの貴族だったんですか?」
「どうしてそのように思ったのです?」
「口調が丁寧だし身なりが綺麗で田舎者とは思えなくて」
それは俺も思っていた。
貴族というよりはお姫様とかそういったほうが近しい気もするが。
あとは肌が一切焼けているようには見えないこととこの家には生活感がない。
見たところ薪はあるけどそれだけ。
食べ物も見当たらない。
ここでどんな生活をしているのか想像がつかない。
「それについては知らない方がいいということもありますので考えて発言することをお勧めします」
なんだか、少しデジャブ。
あの時の俺みたいだ。
聞くべきではないと思ったことは頭の中にしまっておいた。
「ここからが本題ですが、どうか弟を助けてくれませんか」
人助けとなればリアトは絶対に承諾するはず。
でもこれは......はあ、面倒なことになりそう。
「もちろんです。詳し教えてくれますか?」
「はい。三週間ほど前のことです。ここの近くに村があるのですが、ある時から盗賊が現れるようになりました。弟はその村を守っていましたが日が経つにつれて盗賊の数が増えていきました。そんな時村に住む一人が街で妙な噂を耳にしました。その噂というのが村に隠されるあるお宝を手に入れた者には領主から褒美を与えられるといったものでした」
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