C【分身】

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C【分身】

 脇役パターンC 【分身】  主人公と同じ性質や葛藤を持つキャラクター、あるいは正反対の性質を持つキャラクターで、主人公の恋人や相棒、ライバル、あるいは先輩などに相当する人物である。  例としては、恋人なら『ロミオとジュリエット』のロミオに対するジュリエット、映画『タイタニック』のローズに対するジャック、『耳をすませば』の月島雫に対する天沢聖司。  相棒なら『シャーロック・ホームズシリーズ』のホームズに対するワトソン、映画『明日に向かって撃て!』のブッチ・キャシディに対するサンダンス・キッド、『ダイの大冒険』のダイに対するポップ。  ライバルなら、映画『ヒート』のニール・マッコーリーに対するヴィンセント・ハナ警部補、『機動戦士ガンダム』のアムロに対するシャア、『ガラスの仮面』の北島マヤに対する姫川亜弓、などなど。  先輩の例としては、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のフロドに対するアラゴルンが思い浮かぶ。この二人が、指輪の誘惑と使命の間で揺れるという同じ葛藤を抱えているのは、意図的であろう。『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイも、このパターンだと考えられる。拙作『モモノモノガタリ』の小白丸も、この、主人公と同じ悩みと目的を抱えたパターンにした。  恋人や相棒(≒親友)というのは、自らと異なったり真逆の性質や能力を持つ人物が相手だからこそ、惹かれたり補い合ったり、高め合ったり相乗効果が生まれたりするのである(現実世界では両者の精神的成熟が必要だが……)。  もともと創作の世界では、「雨降って地固まる」、つまり最初は衝突していた関係が、次第にお互いを認めて協力するというのはストーリーの一つの基本パターンでもあるし、更に言えば、衝突しているだけの関係でさえ、どちらかがどちらかに従順なだけよりドラマになるものである。  一方で、ライバルの場合は元々戦い合う関係なので、性質や能力が正反対である場合も、実は同質だった、という場合も、どちらも面白くなる。  ちなみに私は、シャアや姫川亜弓など、最初は天才キャラだったはずが、実は主人公の方こそが努力型と見せかけた真の天才で、最初は天才だった方が追い抜かれて努力型に変わる、というストーリーは大好きである。  元々隔てられている二人という意味で、「身分違いの恋」「敵同士の恋」などのパターンは、ライバルのパターンと構造が同じである。だからこの場合は性質が真逆であるという必要性は薄いし、そしてライバル関係を印象的に描いたアニメや映画は、BL好きな人が必ず妄想をたくましくするのである。  整理すると以下のようになるだろうか。  恋人:性質同じ→△(身分違いなどは○) 性質真逆→◎  相棒:性質同じ→× 性質真逆→◎  ライバル:性質同じ→◎ 性質真逆→○~◎  先輩:性質同じ→○ 性質真逆→×  ただし、この【分身】のキャラクターには、これ以外にも、【賢者】や【道化師】の要素をある程度、あるいは明確に、加えておくべきだと私は思う。  上述の『モモノモノガタリ』では三匹の仲間キャラのうち、【賢者】と【道化師】を一人ずつが担当したため、この【分身】にしてみたキャラが、どことなく後半に影が薄くなってしまった気がする(そもそも主人公プラス常に共にいる仲間が三人というのは、いくつか書いてみて多すぎるように思う)。
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