2【見習い】

1/1
前へ
/10ページ
次へ

2【見習い】

 主人公パターン2 【見習い】  児童小説や少年マンガ、少女マンガに多いタイプの主人公で、基本的に明るく素直、落ち込む事があっても比較的立ち直りの早い、陽性のキャラクターである。「ルーキー」という名称の方がよりしっくり来るかもしれない(『激マン』の「未熟な後継者」に相当する)。そして何より、「実力や精神が成長していく」という点が物語内で強調されるキャラクターである。  例としては『ホビット(ホビットの冒険)』のビルボ・バギンズ、『魔女の宅急便』のキキ、『スターウォーズ』のルーク・スカイウォーカー、『キン肉マン』のキン肉スグル、『ドラゴンボール』初期の孫悟空、『ダイの大冒険』のダイ、『ワンピース』のルフィー、『ハンター×ハンター』のゴン=フリークス、『ジョジョの奇妙な冒険』のジョナサン・ジョースター、『スラムダンク』の桜木花道、『鬼滅の刃』の竈炭治郎、『ガラスの仮面』の北島マヤ、『セーラームーン』の月野うさぎ、などなど。  この主人公を考える際には、ただ性格がポジティブであるだけでなく、「初心者」「新米」「勉強を始めたばかり」「誰かから教えを授かる」という点が重要である。なぜなら明るいだけの子供が独自の直感的なやり方で何事もこなしていける程、現実は甘くない事を読者は薄々感じるからで、もしそれが通るストーリーにするなら、(意図しようとしまいと)主人公のタイプは四番目の【厄介者】となる。  なので、この主人公は物語の序盤で、彼の成長を手引きする指導者役や、周囲で見守り助言する大人、憧れとなる先輩などと出会う事が必須である。上に上げた作品では、オビ=ワン・ケノービ、亀仙人、アバン先生、赤髪のシャンクス、ツェペリ男爵、月影千草などがこれに相当し、彼らは脇役タイプAの【賢者】キャラである。  反対に、『ホビット』のビルボに対して魔法使いのガンダルフは、ビルボを冒険に放り込むだけで指導などは特にしないため、「はっきり言って主人公が右も左も分からないままで、ちょっと可哀そうだな……」という印象が生じる。『指輪物語』のガンダルフは賢者キャラだが、『ホビット』のガンダルフは【道化師】の性質の方が若干強い。『魔女の宅急便』も、おソノさんや画家(ウルスラ)が見守ったり助言する役になっているが、一部しか絡まないので比較的主人公が酷な印象である。  物語の主人公は、この【見習い】パターンと1の【苦悩者】が混じり合っている場合も多い。1で挙げたマーティーやパズーは性格が明るいし、ナルトはカカシやジライヤに修行を付けてもらう描写も多いので、かなり【見習い】に近いところがある。一方で、ルークや花道は【苦悩者】要素も強い。私の分類では、「新米である」という面が強いキャラを【見習い】としている。  このタイプの主人公は物語を通して成長していくので、最初は未熟なわけだが、本当に凡人中の凡人である事はほとんどない。大抵は、本人も気付いていない隠れた才能や、役に立ちそうになかった特徴、他分野で身に着けていた何か、火事場の馬鹿力、制御できていなかった力、あるいは、最低でも勇気や負けん気、優しさといったものが、最初から備わっているものである。ぶっちゃけ、そうでないと誰が主人公でも良くなってしまうし、夢もないからである。  既に述べたが、このタイプの主人公があまり他人からの影響を受けず、反対にその独自性で周囲にトラブルを起こすようならば、彼はパターン4の【厄介者】となる(作者の意図は分からないが、ルフィーはこちらに近いところがあるように思う)。また、性格が比較的明るく悩まないが、最初から完成された凄い実力を持っているならば、パターン3の【超人】となる。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加