5人が本棚に入れています
本棚に追加
仲良くなろうよ。
ドアが開く
ま、魔王!
「お前の処遇について悩んでいてな」
「…というか、お前王家の筋じゃないのなら
名前アイトではないのか?」
アイトは国の第4王子の名前だ
そしてアイト様はおれのことをすごく嫌っている…
「ち、違います」
「はぁ…とことん舐められたものだな」
魔王がため息をついた時に恐怖を感じてビクっとしてしまった
まずい
「あぁ、すまない。お前に罪は無いのにな」
なぐ…らない?
こんな反応をしたら殴られるのは当たり前なのに
「それでお前の名前はなんて言うんだ?」
あ…。
魔王に嘘をつくのは流石に…
「えっと、…」
「まさか…ないのか?」
首を縦に振る
「そうか…。お前の国の国王はとんだクズだな。」
国王様は、、
「このまま私の妻となるか?
名前もつけられてないとは…国に帰ってもきっと居場所は無いのだろう?」
国でのおれの部屋は
物置部屋だったし
おれの居場所はあるのだろうか?
おれは…本当に国に帰りたいのだろうか
お母さんに会いたいけれど
お母さんはおれのこと…
───────────
昔、お母さんはずっとお父さんに殴られていた
『お父さんやめてよ!ねえ!』
お父さんはお母さんの胸ぐらをつかみながら殴っている
『うるっせぇな!黙っとけよ!!金がかかるだけでなーんの役にも立たんガキがよ!』
お母さんが離され今度はおれに殴りかかってくる
『い゛ッ…』
標的がおれに変わる
痛い痛い痛い痛い痛い痛い
『それになぁ?俺に殴られて自分に存在価値を見いだしてるのはあの女の方なんだよ!
はぁ…お前さえ産まれなければ俺も!アイツも自由だったのにな!』
殴られ痛みからか意識を失っていく
小さい時の日常はそんな物だった
ある日を境にお父さんは帰ってこなくなった
『お母さん!お母さん!』
お酒を飲んでいない時のお母さんはとても優しくて昼は仕事でいないけどその分
抱きしめたり撫でてくれたりしていた
お母さんがお仕事をお昼のお仕事から夜のお仕事に変えた時何かがおかしくなった
お母さんがお酒に溺れ始めたのだ
『ユウヤが出ていったのは!!
アンタのせいよ!アンタさえいなければ私だけを見てくれていたのに…アンタなんて生まれてこなきゃ良かったのに!』
今度はお母さんがおれに暴力を振るうようになった
男より女の方がやっぱり力が弱いなあ
なんて思いながらも悪いのはおれなので暴力を受け入れていた
そうしている内に
お母さんに新しい男ができたのだ
お母さんはおれのことを見なくなってしまった
暴力でもいいからおれのことを見て欲しかった
願うならお酒を飲む前の優しいお母さんに戻って欲しかった
家に新しい男も住むようになった
おれはタンスから出ては行けなかった
そんなことをしているとおれは
城に勇者として送り出された
それからは訓練と称して殴られたり
掃除かしっかりできていないとこれまた殴られていた。
お母さんに会いたかった
勇者として送り出される前お母さんは手を繋いで
『また会えたら一緒に暮らそうね!』
昔のお母さんに戻っていたのだ
暴力を振るうことなくおれを見送ってくれたお母さんに、また会いたかった
だけど本当は分かっていたのだ
おれという枷が無くなったから昔のお母さんに戻っただけであっておれがまたお母さんの元へ行ってしまったらお母さんはきっとまたおれのことを殴るようになる
それにお母さんは新しい男と幸せそうだった
そこにおれが入る隙は……きっとないのだ
そんなおれに国での居場所はあるのか?
おれがだした答えは……
最初のコメントを投稿しよう!