白日夢

はじめに

夢ではなく、本当にAくんと会ったのではないかというくらい、心の感覚も記憶もリアルなものだった。

あの心地よい時間は、どうしても夢だとは思えなかった。
寝ている間に、人は現実とは別の世界に赴くのではないかと本気で思ったほどだった。

また、世間でよく聞かれる「パラレルワールド」というものは本当に存在し、そこに私は一時的に行っていたのではないかとも思った。

しかし、その夢はあえなく覚めてしまった。
Aくんの家からわが家の布団へと戻された私は、腕の痺れで目が覚めた。

自らの身体で腕を圧迫してしまっていたらしく、力が入らずプランプランになった左腕を持て余しながら、余韻に浸った。