【福の神のお使い・4】真似神。

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 途中で村人とすれ違った。 「お。去年来てた子やんな? もう始まってんで、 "えびすかき" 」  遅刻したんか? と笑う村人は、何かが描かれた紙を手にしていた。 「それ! 見せてくれます?」 「ああ、わし急ぎの用事があるから、先にお札もろてな。もう帰るとこなんや」  そう言いながら村人は、手にした紙をシマオに見せた。 「……これがえべっさま……?」  そこには、墨で描かれた神と見られる姿があった。 「すいません、ありがとう!」  そう伝えると、シマオは走ってお社に向かった。 「どういう事?」 「俺が聞きたいわ……!」  後ろを走って付いてくるコウタにそう答えた時、いつものご神木が見えたと同時に歌声が聴こえてきた。 「ちりや ちりりと ちりとぶところを こぎおうせて  おおきなもんじゃ おおきなもんじゃ おおきなもんじゃ  かみさんが おどった おどった」  鳥居の向こうに人垣と、何かを動かして歌っている姿が目に入った。 「あれか……!」  シマオは立ち止まって、肩で息をしながらその姿を見た。 「おきはたいりょう おかはまんさく つきせぬみよこそ めでたけれ!」  その者が歌っていたのは "えびす舞" のようである。 「誰やあれ……っていうか……」  確かに歌は "えびすかき" の者が口にする物とほぼ同じだったが、手にしている物は木偶人形と呼ぶには無理がありそうな……太さのある枝に布を巻いただけの物だった。  頭巾を被って似たような姿をしているが、なんとなくくたびれているし、何より "えびすかき" 特有の木箱も下げていない。 「偽物……?」  シマオは驚いたが、村の神様の前で騒ぎは起こしたくない。そう思い、木の陰から様子をうかがっていた。
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