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数馬も追いついて、3人は離れた位置から様子を見ていた。
舞い終わった後、少年は紙を集まった村人に配り、代わりに米などを受け取っていた。
しばらくすると村人たちがお社を後にしたので、シマオはすたすたと木の陰から少年の方に向かった。
「お前、何者や。何してんねん!」
強い口調でシマオは伝えた。
これまでこんな事は体験した事も、聞いた事もなかった。とにかく大切な "えびす舞" を真似をされた事に腹が立っていた。
「 "えびすかき" か。来るん遅かったな。俺がもう神さん舞わしたで」
くいと顎を少し上げてそう答えた少年に、シマオは余計に腹が立った。
「は? もう舞わしたってどういう事やねん」
「ちょっと、シマオ! 落ち着いて……」
数馬とコウタが走り寄ってきて、シマオの腕を掴んだ。
「言葉の通りや。もう神さんは舞わした。えべっさんは舞わさんでいいで」
「何言ってんねん! お前のは真似ごとやろ!」
"えびす舞" は、神事である。それを真似するという事がシマオは理解できなかったし、許せなかった。
少年は一歩下がったが、逃げもせずにシマオを睨んだ。
「真似ごと? 真似して何が悪い。お前が考えたんちゃうやろ?」
「俺は戎社に仕える "えびすかき" や。こっちが本物や!」
引かない少年にシマオはきつく言った。少年は一瞬ぐっと黙ったが、ふんっと荒い鼻息と共に、睨んだまま言葉を続けた。
「大きい社やから偉いんか?」
「え?」
「俺は隣村のキヨメや。俺の村にも神さんはおる。戎社みたいに立派な社ちゃうけど、神さんは負けてへん。社が小さくても、俺は俺の村の神さんを誇りに思っとる!」
真っ赤な顔でそう言い放った少年は、小刻みに震えていた。
キヨメとは当時、死穢や汚物など、不浄なものをその地から片付け処分する事で、元の平穏な状態に戻す役目を担っていた者の事であった。
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