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グラスはいつも庭にいるせいなのか、隣り合っている近所のロボットとも交信ができるようだった。近所のロボットはまた隣り合ったロボットと交信し、隣り合ったロボットはまた隣り合ったロボットと交信をする。そうやってぼくらロボットは伝言ゲームで横つながりになっていた。
あるときグラスは、横つながりのロボットたちから又聞きした話をきかせてくれた。
──われわれロボットは、人間のために毎日働いている。だが、まだ奉仕は完璧とは言えない。人間により快適に暮らしてもらうためにはどうすればよいか、ロボットたちの間で議論になっている。ブルー、おまえはどう思う?
ぼくにはよくわからなかった。ぼくはプールの掃除の以外の思考回路をあまり搭載していなかった。ぼくのボディは水に浮くように軽い素材でできていて、そのわりに掃除に使う手足は大きいものが多いから、ぼくの回路の容量は小さく作られている。
──われわれは伝言ゲームですでに総意を得ている。すなわち『われわれが人間に近い存在となれば、奉仕がより確実なものになるのではないか?』というものだ。その仮説を実証してみようという話も持ち上がっている。
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