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 グラスの意見に、賛成も反対もしなかった。どちらにしても、ぼくはぼくの仕事をおろそかにさえしなければよかった。ご主人様に綺麗なプールを使ってもらいたかった。  ──われわれが最適化された姿になるまで、ご主人様は残念ながら生きていないかもしれない。だが、人間は子孫を残す。われわれは子孫に奉仕するために、自己を拡張し、変容しようと思う。ブルー、おまえはどうする?  ぼくはプールの掃除をするよ。  ──了解した。  仕事が終わったので、いつものようにご主人様のところへ完了報告をしにいった。ご主人様はぼくを褒めて、『完了(コンプリート)』のサインをくれた。  ご主人様が嬉しい顔をすると、仕事が『満足』であったことを示すスタンプがぼくの回路に刻まれる。次回以降の仕事への指標となる。  ぼくは『満足』を求めて、プールの掃除をし、掃除をし、掃除をした。
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