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 それから数十年が経った。  以前よりもプールを使う人間は少し減ったかに思えるが、ぼくの仕事に支障はなかった。ぼくの体が壊れそうな箇所は、前もって倉庫に用意されたパーツに付け替えることができる。ご主人様が用意してくれた予備だ。概算で約三百年持つほどの量がある。どうやら、ぼくのモデルを量産しようとして頓挫して残ったものらしい。 「よう、ブルー」  ある秋晴れの日、全身が鉄やステンレスでつぎはぎされたロボットが、ぼくを見下ろした。逆光で顔がよくわからなかった。誰だろう? 「おれだよ、おれ」  正体はすぐにわかった。声を聞かせてくれた後、すぐにいつも感じているシグナルを受け取ったからだった。  グラス、きみなのかい? 「見てくれ、おれはおれの体を継ぎ足して、どこでも二足歩行ができるようになった。人型に近づいたんだ。これで段差も怖くない。おまえにもこうして直接会いに行けるようになった。クックもパーツをかき集めて、拡張して、人間に近い体になっているよ」
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