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黄金ハニートースト
朝食には、決まってパンを食べる。うすく切った食パンを、こんがりと焼いたやつが好き。バターを塗るのは、焼いてから。カリカリの表面で、白いバターがとろとろと溶けて染みこみ始めた頃に、ガジリと噛みつくのがお気に入り。
最近はそこに、はちみつもひとたらしする。溶けだしたバターと、はちみつの組み合わせが、こんなにもたまらない味とは知らなかった。甘さのなかに、ほんのりと塩気が混ざるのが、わたしの人生のようだとぼんやり思う。
このはちみつを家に届けてくれるのはカイくん。2ヶ月前に、道で倒れているところを助けてあげた。2、3日看病したらすっかり良くなって、恐縮しながら帰っていった。以来、お礼として、何日かに1回、はちみつを持って来てくれる。わたしの家のドアの前に、こっそり置いておいてくれるのだ。
でも助けたお礼にしてはもらいすぎだから、3回目くらいからは、わたしもお返しを置くことにした。カイくんは何が好きかよくわからないから、とりあえず、毎回違う物を置いている。 この前はドングリだった。その前は、ひまわりのたね。今回はちょうど、昨晩の流星のくずがあるから、それを置いてみよう。
チーンと音がして、パンが焼ける。香ばしい香り、あたたかい湯気。そこにバターをひとかけら。さらにはちみつ、ひとたらし。
今日はその上から、思いつきで、カイくんにあげる星くずのあまりを、パラパラとふってみた。金色にきらめくハニートーストを、ぱくりと一口、食べてみる。
甘さのなかに、ほんのり塩気。そこにさらに、パチパチしゅわしゅわとした食感が混ざって、なんとも美味だった。
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