909人が本棚に入れています
本棚に追加
入ってきた青年は毬藻頭に眼鏡姿の、言わば冴えないオタクといった印象だった。
まぁ、黒髪黒目の平凡な俺くんに言えたことでもないが。
『王道……超王道……』
周りに聞こえないようぼそっと呟く。
めっちゃ王道じゃん。絵に書いたような王道じゃん。
朝「俺の名前は夕空朝日だ!!!みんな宜しくな!!!!!仲良くしてくれよ!!!!!!」
いや、夕方なのか朝なのかハッキリしろよ……なんだその名前……
つか声量……
「キモ!!!!すごい!!!!!キモい!!!!!」
「あの毬藻頭どうなってるの?育てれるの?」
「キッショ、キッショ」
「お前と仲良くなんてしたかねぇよ!!」
教室では罵詈雑言が飛び交う。ま、そうなるわな。
普段は可愛いチワワたちの顔も、今は見れたものでは無い。あんな顰め面なかなか見ない。
うちの生徒会は族に入っているという噂を聞いた事がある。転校生のあの髪型は、さながら自分が族に入っていることを隠すための変装といったところだろうか。
それとも、理事長からのお願いかな。
和「ッチ、お前らうるさいぞ、朝日の悪口を言うんじゃない」
ゑ、カズセンが怒るなんて珍しい。
相当気にいられてんだなこいつ…腐男子としてはまたとな美味しい状況だ。
でもアンチ。なんでアンチ連れてきた????
俺知ってるけどね、アンチが来た時は平凡くんが必ずと言っていいほど巻き込まれるって。
さて、俺は今日からなるべくこいつと関わらないようにして王道転校生と生徒会のイチャラブを見守って……
和「朝日の席はえーと、、、あ、遠山の隣だな」
……ンンンンンン????
最初のコメントを投稿しよう!