季節外れの転校生

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突然だが、君達は季節外れの転校生についてどう思うだろうか。 何故こんな時期なのか、とか、はたまた特に何思わない、とか。 それぞれ感じるものはあると思う。 だがしかし。我々腐男子・腐女子にとって、王道学園での季節外れの転校生と言えばそう。 《王道転校生》である。 『ついに来ちゃったかこの時が……(倒置法)』 待ちわびた瞬間。そもそも入学から2ヶ月が経つのに未だ新歓が行われていない時点で薄々察してはいた。 それにしても素晴らしすぎないか???? 聞いた話では、早速朝から副会長に気に入られキスされたらしい。 え?何処から手に入れた情報かって?? あ、聞いてない?そう。 俺にはとーっても頼りになる先輩が居るんよ。羨ましかろ? 2年生の桜庭先輩。俺と同じ腐男子で、生徒会の親衛隊長をしている。 おせっせ現場で偶然居合わせ、お互い腐男子だと気付いた時の興奮は忘れられない。 あー、ついに来ちゃったかあ……楽しみだな……へへ、 ガラッ 和「入るぞー」 俺のポーカーフェイスが崩れかけたところで、我が1-A担任ホスト教師のカズセンが入ってきた。 左手に持った出席名簿を怠そうに肩に乗せながら教員机へと向かう。 あまりに王道すぎてビビる。 「きゃーーーーーー!!!!」 「和センセーーー!!!!!」 「抱いてーーーーーーーー!!!!!」 「かっこいいーーー!!!!」 チワワどもが騒ぎ始める。 そんなチワワたちの悲鳴を華麗にスルーし、カズセンは話し始める。 和「あーまぁ知ってると思うが、うちのクラスに転校生が来た。おい、朝日。入ってこい。」 早速先生も呼び捨てすか。 これは期待出来そう。
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