939人が本棚に入れています
本棚に追加
あの後実行委員が持ってきてくれたジャージにとっとと着替えた俺はこれ以上特に出る競技もないので取り敢えず自分のクラスに戻る事にした。
戻る事にした……のだが、正直戻らなければ良かったと後悔している。
朝「おかえり優也。可愛かったぜ。でも次からそういう格好するのは俺の前だけにしてな?ちなみにそのジャージ誰の?場合によってはそいつ殺す」
『帰って早々俺の神経すり減らすようなこと言うんじゃねぇ。これは学校から借りてるやつで、誰のとかじゃねぇから。あとお前の前でも二度とあんな格好しねーよカス』
伸「……なんかお前、朝日に厳しくなったよな」
『優也くんはセクハラ野郎には厳しいんですぅ〜』
涼「あれ、帰ってきたの?おかえり優也」
『黙れセクハラ常習犯現行犯逮捕』
涼が誤解生む発言すんなとか色々言ってるが知ったこっちゃねぇ。前寮で好き放題されたのまだ根に持ってんねんからな!こっちは!
涼の手を払い除け俺は自分の席に座る。隣に座っている委員長と話していると、すぐさま朝日がこちらに近寄ってきた。
朝「おらイインチョーどけ、今からここは俺の席だ」
『うわこいつヤバ、犯罪者予備軍だよ。凄いジャイアニズム』
半泣きの可哀想な委員長を半ば強引に退けた朝日は、何食わぬ顔で俺の隣にドカッと腰を下ろした。
『お前委員長に失礼だと思わないのか』
朝「しっかしよぉ優也」
『話聞く気ねぇんだな?』
朝「優也のほっそい体にオーバーサイズのジャージってのは、かなりクるモンがあるよなぁ」
『は?キッショ』
ヤバい、ガチで素で声が出ちゃった。俺の言葉を聞いた朝日が悪どい顔をジリジリと近付けてくる。
やばい、やった、完全にミスった。だって、でも、仕方ないやん。あんな変態オヤジみたいなこと言うから、つい。
俺だって仕方なくって言うか、口からポロッと言っちゃったって言うか。
朝「おい、観念しろよ?優也」
焦った俺が思わず目を瞑ってしまった瞬間、後ろからジャージの襟をぐいと引っ張られた。そのまま体の重心は傾き、俺の頭は誰かの胸にぽすっと収まる。
『……土森?』
伸「朝日、お前やりすぎだ。こいつ怖がってんだろ」
なんて心外な。別に怖がってなんかないですし。
俺のプライドをかけた勝負だったことは確かだけど。
朝「……ま、俺も嫌われるのは本望じゃねぇしな」
朝日が引き下がってくれたことを確認し、ふっと体の力が抜けた。のもつかの間、土森に背中を預けたままの俺の顎をくいと朝日が持ち上げた。
朝「いつか、な?」
さいっあくだよ、マジでこいつ。俺が額に青筋をピキピキと浮かばせていると、俺の頭上に土森とは別のでかい影がかかった。
紅「おいお前、俺様の許可もなく朝日に触れてんじゃねぇ」
どこからどう見ても紛れもない会長様でした。許可なく触れられてるのは俺です。不可抗力です。
ていうかこの人、マジでこんなんになった朝日見ても好きなのな。それもはやどこが好きになったのかわかんないけどね。まぁそれも1種の愛……
朝「紅騎じゃん!!さっきぶりだな!!!優也とはちょっと遊んでただけだから心配すんなよな!!!!!!」
……誰?
『え、待ってお前……』
さっきまでそんなんじゃなかったよな、と口に出そうとすると、凄い勢いで口を塞がれた。そして耳元で囁かれる。
朝「生徒会のやつには媚び売っといた方が何かと楽なんだよ」
……ヤッバ、こいつヤッバ
最初のコメントを投稿しよう!