ハードボイルド卵 zero

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俺はハードボイルド卵 ゆで卵だ。 今日も『だらしない にいちゃん』の悪意なき腐敗活動から台所の平和を守っている。 「あ、アニキ!大変ですぜ!」 弟子のウズラらんが息を切らしながら台所の飾り棚の最上段までよじ登ってきた。 (ラン)はこのアジトが手足が小さいウズラらんにとって過酷な場所である事を気の毒に思っていた。だが仕方がなかった。飾り棚の最上段は年末の大掃除ですら日の目を見ない場所。(ラン)達にとって最高の隠れ家なのだ。 アジトは(ラン)の身体二つ分位のコンパクトな籐籠のベッド兼ソファーが一つ。手に届く位置(完全に忘れられている景品のグラス)に立てかけられた相棒のライフル銃。それ以外は無い。レイアウトはいたってシンプルだ。 そして(ラン)の周りは今は無きにーちゃんの同棲してた彼女との思い出の品に囲まれている。ペアカップやペアのカレー皿。サラダボール。赤と青のベタなカラーリングの食器類。 にいちゃんのハートブレイクの在庫置き場。 ......ま、ハードボイルドにはお似合いの場所さ。 (ラン)はサングラスの端をクイッと指で上下に動かして瞳に光るものを隠した。 「アニキ!!またあの『だらしない にいちゃん』がやらかしましたぜ!」
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