ハードボイルド卵 zero

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「どうした。ウズラらん。」 俺は身体を少し浮かせて床ずれを防止した。 「アイツ、やばいよ!ヤカンを火にかけたままリモート会議に夢中になっているよ!」 「な、何!」 初導入されたリモート会議の為、わざわざ部屋を模様替えした6畳一間のワンルーム。 ほぼ部屋を占領するリボ払いで購入したアウトレットソファー。ドヤ顔を浮かべながら『だらしない にいちゃん』は優雅に前屈みに腰かけ指を顎の前に組んでいた。 「ああっ!アニキ!火事になってしまう!」 「クッ、アイツっ!せっかく沸騰したら口からピーッとなる素晴らしき機能を搭載したヤカンを使っているのに!馬鹿かっ!」 注ぎ口の笛部が閉じられていない為ヤカンの中の水はひたすら蒸発している。長時間火にかけたままの状況を考えるとヤカンの中身はもう間もなく空になるだろう。
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