恋にライバルは不要です

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 それから少しくらい眠っていたと思う。次に目を覚ました時、フィオネさんが持ってきた蝋燭が半分くらいに減っていた。まだ熱もあるし身体も痛い。それでも目を覚ましたのは、部屋の外で物音がしたからだ。 『……?』  まさかまたフィオネさん? それとも別の誰かだろうか。  扉をじっと見ていると、赤い異世界文字が浮かび上がって消えた。嫌な予感がする。 直後に扉が開かれて、複数の男が部屋に入って来た。全員国王軍の緑のマントを見につけている。 『誰だ……!』 「王太子妃様、部屋を出ていただきます。あなたを処刑しろとの命令が出ています」 『嘘だろ? いったい誰の命令で……』  まさかルーシェンが? いや、国王軍だからルーシェンじゃない。さっき薬をもらったばっかりなんだぞ。 『何するんだよ! 離せよ!』  抵抗したけど、熱もあるし相手が複数だったせいであっさり捕まった。兵士に抱えられて部屋の外に連れ出される。 『離せ! ルーシェン! 如月!』 「お静かに」  抵抗も虚しく、廊下を抱えられて移動する。口を押さえられて声も出せなくなった。階段を降りて砦の下方部分に向かってる。岩壁に開けられた窓の外は夜で、木々がすぐ下の方に見える。  しばらく行くと展望台のような広場があり、鳥籠のような檻が設置されていた。処刑って、今すぐ殺されるわけじゃないのか。なんだよこれ、どういう内容の処刑なんだ? 下は真っ暗で怖すぎる。 「ミサキ様!」  誰かの声がして顔をそっちに向ける。飛行部隊の隊員が三人、国王軍の兵士の前に立ち塞がった。 『もごもご(助けてください!)』  よく見るとジョシュの彼のマーク、それに一緒に雲の谷に向かった隊員二人だ。 「ミサキ様に何をするつもりだ。すぐにその手を離せ。無礼だぞ」 「王太子妃様にはエルヴィン隊長より処刑命令がでている。王子の許可も頂いている」 「王子がそのような許可を出すはずがない」 「命令を遂行しなければならん」 「王子の婚約者を処刑すれば、お前たち全員罪に問われるぞ」 「しかし命令書がある」 「誰か王子をお呼びしろ!」  マークが走って広場を離れる。そのあとを追いかける国王軍の兵士が二人。  しばらく睨み合いが続き、飛行部隊の隊員二人が剣を抜いたので、国王軍の兵士も戦闘体制をとった。
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