王太子妃……恐ろしい響きだ

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 今日は朝の会議がないというので、朝食の時間までベッドでずっと二人で過ごした。といってもルーシェンは、俺の身体に負担がかかりそうな事は何もしなかったけど。キスをして、身体に触れていると、その先がしたくなってどうしようもないけど、あまりねだりすぎると呆れられそうだ。でも本当は気を失うほどしたい。いや、されたいの間違いかな。俺はつくづくドMなんじゃないかと思う。精神的には対等でいたいけど、ベッドでは蹂躙されたい。これ、誰のセリフだっけ? 初めて異世界に来た時に会った犯罪者のオカマがそんな事言ってたよ。あいつと同じか……。 『ルーシェン……もう少し、したい』  お互い触ってるうちに上り詰めて、またシーツ汚しちゃったよ、と思いながらも結局我慢できなくて裸のルーシェンにねだってみる。でもルーシェンは、俺の胸にキスをしただけで 「……駄目だ。シュウヘイの身体にあまり負担をかけたくないんだ」 と言った。 ***  いつもより少し遅めの朝食の時間。  すました顔で優雅に朝食を食べているルーシェンと、眉間に皺を寄せた俺。  仲のいい侍女達は多分、俺の機嫌があまり良くない事に気づいている。でも不機嫌の理由が欲求不満だとは気づいてなさそうだ。  これは一度話し合う必要があるな。  フィオネさんに薬の事を聞いてみよう。もしも大した事じゃないなら、ルーシェンにもっと要求してもいいよな。  いくら王子様が忙しくても、新婚なんだからせめて週に一度、いや二、三回は昼までずっとイチャイチャしたっていいはずだ。身体だって負担がかかってもいいから、もっと激しくされたい。ルーシェンだって本当はそうしたいと思うんだ。わがままな王太子妃と思われてもいい。改善を要求しよう。俺は一人頷いて朝食を口に運んだ。
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