王太子妃……恐ろしい響きだ

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『あの、こんなに大人数でいくんですか?』 「ああ。これでも厳選した。あまり大勢で押しかけると各都市が困るからな」  厳選したのか。これでもかなり多いと思うんだけど。五、六十人はいて覚えるのが大変そうだな。地位や職業なんかも合わせたら一週間くらいかかるかも。 「ミサキ様、皆様にご挨拶を」  ルーシェンについてきていたフィオネさんに促される。 「そうだな。シュウヘイ、何か一言皆に言ってくれ」 「分かりました」  何も考えてないけど、とりあえず何か話そう。みんなビシッと整列してるし。 『皆さんおはようございます! ルーシェンの婚約者の岬修平と言います。一緒に旅をしてくれてありがとうございます。安全第一で楽しく行きましょう!』  あれ、なんだか一瞬変な空気が流れたような。工場長みたいな挨拶になったけど、まあいいか。  隣でルーシェンがくすりと笑って、それを目にした部下たちが、マナーも忘れて王子をチラ見してる。  俺の微妙な挨拶の後、並んでいた兵士たちの先頭にいた各部隊の隊長が礼を取って自己紹介を始めた。  詳しい役職はよく分からないけど、飛行部隊のロベルトさんが旅行の総責任者みたいで、その次がアークさん。それにその場にはいなかったけど、如月も魔法関係の隊長として後で合流するらしい。  侍女頭としてフィオネさんがいるのも嬉しかった。異世界にも沢山の仕事と役職があるんだなぁ。ヒラの見習い兵だった俺が、いきなり出世して皆に頭を下げられるなんて不思議な気分だ。  挨拶が終わるとルーシェンが 「これから船に案内するから、各部隊の隊長は付いてきてくれ」と言った。
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