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「王子様、おやすみになられるのでしたら私がミサキ様の看病をいたします」
「いや、あとは俺がみる」
「では隣の部屋で待機しております。いつでもお呼びくださいませ」
ポリムが部屋を出ていくと、ルーシェンと二人っきりだ。ルーシェンは何も言わないし眉間に深い皺が刻まれているのに、そばにいて欲しくて手を出すと、ためらいがちに握ってくれた。
***
眠っていたらしい。
どのくらい眠っていたかは分からない。たくさん汗をかいて、身体は熱っぽいのにぞくぞくと寒気がした。あまり良くなってない。
暗い部屋にルーシェンがいる。俺と同じベッドには眠らず、隣に座ったままの姿勢で目を閉じて眠っていた。片手は布団の中で俺の手を握ってくれていたみたいだ。
『ルーシェン……』
掠れた声で名前を呼ぶとルーシェンは目を覚ました。
すぐに額に手を乗せられ、ムッとした表情になる。それがおかしくて少し笑ってしまった。
「熱が全然下がっていない。なぜ笑っている」
『ルーシェンが隣にいるのが嬉しくて』
「浮かれるな。死にかけたし高熱もあるんだぞ。おまけにシュウヘイは謹慎処分中だ」
『そうなんですか?』
「当然だ。ロベルトだけ罰を与えるのもおかしいだろう」
『魔法で眠らされて、運ばれただけです』
「服を脱いでいた」
『眠らせた人が脱がしたんです』
「俺以外に肌を見せるなと言っただろう」
意識ないのに無茶いうよな。こういうところは相変わらず王子様なんだよな。
「だいたいシュウヘイは昔から隙がありすぎる。出会った頃からそうだった。初対面の俺に風呂を見張れだとか、部下と雑魚寝をしたいとか、異世界ではそれが普通なのかもしれないが」
ルーシェンがぶつぶつ言ってる。さっきよりは怒りがおさまったみたいだ。熱でぼーっとするし、寒気もするからあまり頭に入らない。
「シュウヘイ……? 大丈夫か」
『寒気がします』
ルーシェンは少し考えて、俺のベッドに潜り込んだ。身体に手を回して暖めてくれる。
『暖かい』
「熱があるのに寒いのか。シュウヘイが魔力酔いをしているから、本当は離れていた方がいいんだが」
『そばにいてください』
そう言うと、ルーシェンはぎゅっと腕に力を込めた。
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