恋にライバルは不要です

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「これでもう安心ですわ。ミサキ様も王子様も砦は援軍に任せて王都へ帰還できます。王子様がミサキ様を謹慎処分になさったときには、心臓が止まるかと思いましたけど、私は信じていました。王子様はミサキ様を心から愛していらっしゃるのですもの。きっとすぐに許されるだろうと思っていましたわ」 『謹慎処分って、どういう状態なんでしゃうか。王妃様に会えますか?』  そう言うと、ポリムは目をまるくした。 「もしかして、ミサキ様はまだ王子様から許されていらっしゃらないのですか?」 『まだ処分中だって言ってました』 「あんなにお優しくしていらっしゃったのに?」 『ロベルトさんが謹慎中だから、同罪だって』 「まあっ、私とジョージの降格処分が許されたから、王子様はミサキ様もお許しになったのかと……違うのですね。  ロベルト隊長はお一人で謹慎されればよろしいのですわ。同じ罪だなんて、そんなことありません。いつだって部下の罪が重いに決まってます」  ポリム、ロベルトさんに厳しいな。  『謹慎じゃなく、別の処分にしてもらえないでしょうか。王妃様に会いたいので』  ラキ王国の刑罰、もっと勉強しておけばよかった。むしろ歴史なんかより一番勉強しないといけないところなんじゃないか? 自分の身を守るためにも、この国の法律と刑罰は頭に叩き込んでおかないとまずい。謹慎といえば、外出禁止みたいなイメージだけど、それで合っているのかも分からないし、それに代わる同じくらいの刑罰に変更してもらって、王妃様と会ってエルヴィンの対策を練りたい。  そもそも婚約旅行中に雲の谷に行こうと思ったのも、王妃様に魔法のことを聞いて弟子入りしたかったせいだ。王妃様は見える人なんだから、エルヴィンの真っ黒オーラだって見えるはずだ。  ベッドから起き上がってマントを羽織ると、ポリムに止められた。 「ミ、ミサキ様、お部屋をお出になると怒られてしまいます。お戻りください。それに病み上がりです」 『ポリム、別の処分に変えてもらうので安心してください。王妃様に話したいことがあるので会議室に行きます』
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