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第一章 『シンデレラはガラスの靴をk点に向かって全力で投げた』
ふわふわした栗色の茶髪。
猫みたいにキラキラした瞳。
つやつやの肌。
見上げる様な長身に、綺麗な指。
ワイシャツの袖からのぞく、逞しい手首。
彼はその昔、私の職場で王子と呼ばれていた。
性格も良くて、社交的で、だから自ずと絶大に人望が厚くて、将来有望なエリート。
本社営業部のエースだった。
社内の女子を次々と胸キュンさせ、赤面させ、恋に落とした超絶イケメンな先輩。
名前は、冬野 由貴(とうの ゆき)。
私は、彼の事が好きだった。
初恋だった。
でも、私は地味で根暗で残念だった。
所謂、人間社会に置いてモブ(脇役)に属する役柄が相応しい。
分かっている。
すみません、神様、フェアリーゴッドマーザー。
これは何かの間違いです。
私には、ガラスの靴もドレスも魔法もノーセンキュー。
寂しくても、虚しくても、文句言いません。
だから。
神様、お願いします。
私の地味で根暗で残念な毎日を返してください。
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