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「え、何?」
「奏美さん焼きもちですか?」
「…………」
私は顔を真っ赤にするだけで言い返せない。
「加藤さんなんて眼中にないですから。あんな顔だけが取り柄の人に興味なんてありません」
きっぱり言い切るから驚いた。「その顔だって全然俺の好みじゃないですし」と私の顔を見て微笑む。
涼平くんが誰かをそんな風に言うなんて珍しい。もしかして加藤さんの本性に気付いているのだろうか。
「今日だって涼平くん、加藤さんにくっつかれて満更でもなさそうだったのに?」
イベントで揉めた後もお店の中でも、加藤さんがそばにいても嫌そうな感じじゃなかった。
「どの社員にもいい顔しておきたいだけですよ。素でいられるのは奏美さんの前だけですから。だから、早く俺のこと好きになってくださいね」
「っ……」
熱を込めた目で見つめられると照れてしまいどうしたらいいかわからなくなる。
こんなんじゃダメだ。いつまでも弄ぶようなことをしないで言わなきゃ。涼平くんに付き合ってくださいって。
「あの……」
「涼平くん!」
お店の中から加藤さんが出てきた。
「何してるの? みんな涼平くんを探してるよ?」
加藤さんは立ち尽くす私と涼平くんに不審な目を向ける。
「どうかしたんですか?」
「えっと……私、もう帰ろうかと思って……」
「そうなんですね。古川さん、今日はありがとうございました。厄介なオバサンに困ってたので、古川さんが来てくれて助かりました。」
「うん……」
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