蒼い蒼い空の果てへ……

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私の言葉に司令は『ご苦労。』といい、私に煙草を一本勧めた。私はそれを押し戴いて司令自ら擦ったマッチの火で煙草を吹かした。 「真鍋中尉、命令だ。」 私が煙草を吹かしていると参謀が言った。私は煙草を灰皿で揉み消すと正対した。参謀は言った。 「海軍中尉真鍋義人は、本昭和18年12月26日付を持って第803航空隊への転属を命ず。」 「はっ。」 私は不動の姿勢のままその命令を受領したが、頭の中では何故この時期になって異動なのだろうかとの疑問が過った。 私が疑問に思っていると参謀が言った。 「スプルーアンスの機動部隊が大きな行動に出ようとしている。」 参謀はそう言うと、壁に掛かった地図をし希望で指し示し言った。 「ギルバートを占拠した敵の次の目標は、マーシャル、トラック、ウエーキ、南鳥島、硫黄島、そしてマリアナという線が強い。 貴官はその兆候を探るため行くのだ。」 私は頷き参謀に対して敬礼した。 翌日私を移送するための輸送機が到着し、私ただ一人を乗せた。 「分隊士殿、昨晩給養に頼んで作ってもらいました。」 搭乗の直前に姉川が、稲荷寿司の入ったブリキの弁当箱を差し出した。私はそれを押し戴くように受け取った。 「姉川、息災でやれ……。」 「分隊士殿も……。」 発動機が回り、ゆっくりと輸送機はラバウルの地を飛び立っていった。 機は、サイパン、硫黄島を経由して厚木に降り立った。 私の新任地である803空は厚木に本拠地を置いていた。 「まあ、気楽にやれ……この部隊は、指揮官の俺と操縦士のお前だけしかおらんのだ。」 申告に赴いた先で、803空の指揮官……朝倉中佐はそう言って煙草を吹かした。
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