蒼い蒼い空の果てへ……

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機は、オワフ島のほぼ西から侵入し、ナイワワの南を抜け、真珠湾を横切るようにワイパフの上空に向かった、そこで私は機を高度1,000に上げた……。 そしてその間……写真を3枚とった……真珠湾の上は一面艦船で覆われていた。 こんな数……トラックで連合艦隊が集まった時以上だ……私は機をワイパフからアイエアへ向けた。 湾全体を映し出せるような構図での撮影、何て数の空母だ……ここにはスプルーアンスの機動部隊が全ているのだ……。 私は興奮を感じながらキャメラのシャッターを切った……私は見事にその与えられた任務ををやってのけて見せた。 対空砲火は無かった……。私はキラキラと艦艇の間で光る海を見詰めながら機をエワ・ビーチへ向け、一気にスロットルを全開にして速度を330nt(約600km)に上げて機を一旦南へとへと向けた。 撮った写真は合わせて12枚……。 私は無線のスイッチを入れ、作戦成功の符号である『テ・テ・テ……』を打電した。 100km程南下したところで、私は機を潜水艦との予定海域の西方へと向けようとした。 その時、後方で何かが光った……敵機だ。私は瞬時に判断した。敵機は1機……私は機を西方へ向け、一気にスロットルを解放した。 燃料が一気に回り始め、機は時速300nt(600km)を超えた。 後続の敵機はそれでも付いてくる……メザシ(P-38)か?それともシコルスキー(コルセアF7F)か……? それでも、これから2,000km近く飛ぶ私の機には付いてこれまいと私はそう思った。 米軍機は足が短いのだ……。高度を6,000に上げ、プロペラピッチを上げた。後方を見るとまだ敵機は追随している……。 オアフを出てから既に500km……敵機の姿は蠅のように小さく機種までは判別できなかった。 私はスロットルを上げて時速350nt(630km)の、この機が与えられた最大速力まで上げた。 燃料は喰うが仕方がない……まずは敵機をかわして、潜水艦との合流海域に到達するのが目的なのだ。 私が速力を挙げると敵機も速力を上げたたようだった。 メザシならそろそろ息が付くはず……シコルスキーならそろそろ諦めるはず……私は1,200kmを飛んだ時そう考えていた。 燃料計は既に半分近くを指していた。いけない……これでは合流海上に到達できんかもしれない。 私はそう考えていた。それでも敵機は追ってきた……。
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