硝子の宝箱

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 でも、すぐにその顔が表情をなくす。もうキレイじゃないわ、と彼女が呟いた途端、硝子ごと僕の目は砕け散った。煌めきながら床に降り積もる。  輝きが消えるのは当たり前だ、と僕は思う。生きているからこそ、その目は輝くのであって、体から切り離されたら死んだ命の無いただの物体になる。  僕の片目は無くなってしまったけど、不思議と彼女に対して怒りはわかなかった。きっと、僕が彼女を愛しているからに違いない。  彼女がキレイだと言って硝子ケースに入れたから、僕の左手もすでにない。でも、砕けた目とは違い、それは彼女のお気に入りを展示する部屋に飾られている。僕の自慢だ。  彼女のお気に入りを詰め込んだ部屋には、大小様々なものが展示されている。  人の頭部は色白で金色の巻毛が可愛らしい少女のものだ。誰を映すこともなく、瞳を閉じたまま愛らしい顔を晒している。僕の見た目が良ければ、僕も同じように展示してもらえたのだろうけど、可能性は低い。残念だ。  美しい羽をした鳥や、しなやかな体つきの動物、滑らかな肌を持つ生き物の皮など、彼女の目にキレイと映ったものがそこにはある。
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