ロベルト・ムージルによる「人類補完計画」!?

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ロベルト・ムージルによる「人類補完計画」!?

 (某SNSにあげた文章を加筆修正しております)        『愛の完成 静かなヴェロニカの誘惑』(ロベルト・ムージル著 岩波文庫刊)を再読しました。    とはいっても最初に読んだのはかなり昔で、手応えのありすぎる作品という記憶しか残っていなかったんですが。  ネットで「文芸版人類補完計画」という評を以前読んだことがあるのですが、今調べても見つかりません。  この本、「愛の完成」と「静かなヴェロニカの誘惑」、中編2篇で「合一」という題名が原書ではついています。  「静かなヴェロニカの誘惑」の最後のほうに、ヴェロニカが、デメーターを選び、旦那ヨハネスの死を確信するときに、二人を隔てていたものを感じ、それが、心どころか魂のレベルまで一緒になってゆく、そこらあたり、「新世紀エヴァンゲリオン」の「人類補完計画」らしいといえばらしいです。  「愛の完成」も(順番はこちらのほうが先ですが)、やはり姦通もの。  ネットでどなたかが指摘していますが、クラウディネやヴェロニカの愛とは、「性愛」ではなくて、性と愛が分解し崩壊したもの、と。なかなか鋭い「読み」だと思います。  さらにその性も愛もどんどん分解していき、「愛の完成」では、その分裂が夫と参事官との三角関係になり、「静かなヴェロニカの誘惑」ではヨハネスの死になる。  はっきりと死を意識していなくても、おそらくヴェロニカは愛の合一のために、ヨハネスを何度も「自殺させる」でしょう。  あらすじもほとんどない、アンチロマン(ヌーヴォーロマン)のような作品ですが、なんと訳が古井由吉(よしきち)さんです。  テクストの魔術、その日本語への翻訳、読みやすくはない本ですが、手頃なアンチロマン系の本としてもお勧めできます。                        ペコメありがとうございます!!      真哉さん>なんだかこう魂に響いてくる言葉を書く哲学者です>ニーチェ 寺山さんっぽい、わかる気がします。その優秀なATOKからの別れ……;; 柚木麻子さん、図書館、近所の本館には短編集が置かれてなかったのです、たるんでおるw そろそろ小説を書いてないのに危機感を覚えております>わたし;;      倉橋さん>澁澤龍彦さんの仕事は窮極のところ、彼の翻訳作品(作品の選択眼も)と、あまり多くはないのですが創作作品、これに尽きると思います。変なおじさんではないですw      隣のイタサカ先生>わたしテキストエディタREDは知らなかったです。VZやMIFESなら知ってましたが。  なんというか、DTPへの夢があっていい時代でした。ペヨトル工房というマニア向け出版社さんが、まだ実用レベルに達していないマックを使った編集・出力をやってたりで妙に嬉しかったり。  MIDIがまだあったの、ちょっと驚きです。      紙葉さん>(*´ェ`*)      一花さん>わたしなんか血をもって「書く」どころか、今絶賛小説の案がでない状態なので、ニーチェ先生にぶん殴られそうです。
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