訳ありプロポーズ

3/3
前へ
/3ページ
次へ
「薔薇の花言葉をご存知ですか?」 「いえ。」 「赤い薔薇の花言葉は、”あなたを愛しています”です。本数によっても意味が変わります。本当は108本で“結婚してください”という意味になるのですが、すみません、今108本もなくて。11本にしました。11本の意味は“最愛”です。そしてカスミソウ、こちらは“永遠の愛”という花言葉です。いかがでしょう?」 説明と共に見せられた花束は抱えるほど大きく作られ、まさにプロポーズにぴったりという様な素敵な仕上がりになっている。 閉店しようとしていたところに飛び込んできた俺に、そこまで考えて花束を作ってくれるとは思いもよらなかった。 「ありがとうございます。」 丁寧にお礼を言うと、店員はにっこりと微笑んで言った。 「応援していますね。お幸せに。」 店員から受け取った花束は、ずっしりと重かった。 俺は愛情と責任を改めて痛感しながら、最愛の彼女と娘が待つ家路を急いだのだった。 【END】
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

377人が本棚に入れています
本棚に追加