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「おい、お前。
何が可笑しい。
そいつを連れて来い。」
3人の男が僕とカエデを引き離し前へ引きずり出した。
松明から落ちて来た火の粉が腕にあたり僕は悲鳴を上げた。
人々は声を上げて笑った。
「この男はもう泣いているのか?
弱虫で意気地なしな男だ!
盗掘者はその場で首を落とす。
そしてこの休息地を汚した報いをその者の血で贖わせる。」
その男が目配せすると一人の男が日本刀より幅がある剣を両手で振り被った。
「やめろ!
やめてくれ。
僕達は盗掘者じゃない。
フェル!
何とか言ってくれ!」
後ろ手にされたままフェルを見ると気を失っていた。
これは悪ふざけじゃなくリアルだと思ったが万事休すだった。
「フェル!たのむフェル!」
僕は泣き叫んだ。
「報いの血はあそこへ飛ばせ。」
男が指差した方へ僕の身体の向きを変えた。
「やれ。」
その男の静かな声が流れた。
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