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わたしは智美を無視してOL風の女性に問いかける。
女性は目を大きく見開き、とても驚いた顔をしていた。
いや、女性だけではない。
その場にいた全員がひどく驚いた様子で、わたしと田吾作さんを交互に見ている。
「なに? あんた達アルカヌムの参加者じゃないわけ?」
金髪男が気の抜けた顔で首を傾げる。
「アルカヌム?」
聞き返すと、初老の男性が少年の背中を優しく撫でながら頷いた。
「怖い思いをされたようですが、大丈夫。
ここにいる皆アルカヌムのプレイヤーなんですよ」
アルカヌム?
プレイヤー?
一体なんのことを言ってるの?
全然意味が分からない。
わたしは救いを求めるように隣の田吾作さんの腕を引いた。
「なに?」
田吾作さんは小さく首を傾げる。
「田吾作さん、あなた知ってるの? アルカヌムってなにか」
「全然」
「じゃあなんでそんなに平気な顔してるわけ?」
「わからないから、どうでもいいかなって思ってたわ」
呆気にとられるわたしを見て、初老の男性が声をたてて笑った。
「貴方達は仲が良いんですね。紹介が遅れました。私は田辺。田辺章一といいます。ここにいるのは皆、アルカヌムというゲームの参加者なんですよ」
田辺と名乗った初老の男性は、べったりと寄りそう少年の背中を優しくなでながら、
「さあ、君もお姉さんに自己紹介してごらん」
と、話しかける。
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