迷い子たちの群れ

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 サラサラの髪に子犬のような瞳。  一見少女のようにも見える顔は、とても緊張しているように見えた。 「僕は……山崎(やまさき)(れん)です。い、今野瀬(いまのせ)小学校の二年三組です!」    蓮君は小さな声で、でもしっかりと自己紹介してくれる。  田辺さんはそれを、微笑まし気に見つめていた。 「すごいね、蓮君。上手に自己紹介できたね」    OL風の女性がそう声をかけると、蓮君は照れくさそうに田辺さんの背中に隠れた。  蓮君の愛らしさにわずかに場が和む。  それをぶち壊したのは、ギャルの大きな欠伸。  つけまつげでバサバサとした目の端に、涙が浮かんでいる。  パールピンクの下地に、ごつくてカラフルなラインストーンをデコったネイルをひらひらと振り、また、かみ砕くような欠伸をした。 「アタシ、森尾(もりお)レミ。レミたんって呼んでいいよ」 「レミ……たん?」    なんかキャラ濃すぎ。  レミたんは嬉しそうに頷く。  そのやりとりを見ていた智美が、苛立たしげに舌打ちした。 「ねえ、私達ってアルカヌムに参加するライバルなわけじゃない。馴れ合う意味ってあるわけ?」    意味ないと思ってる割りに、けっこうがっつり絡んできてたと思うんだけど。  内心毒づきながら、さっきから疑問に思っていたことをOL風の女性に問いかけた。 「あの……さっきからそれなんなの? アルカヌムって。遊園地のアトラクションとかだったりする?」    同性なのについつい目がいく胸元を揺らし、女性は眉を下げる。
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