9人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「え? 無理?」
「うん! 無理! だって運営の人なんて全然いないもん!」
「へ?」
思わず頓狂な声を上げたわたしに、美知佳さんが同情するような目を向ける。
「本当なの。私達はここに来て二時間くらいたつけど、ゲームの参加者以外この洞窟にはいないわ」
「じゃあどうやってゲームを進行するの? いつの間にかこんな場所に運んできて放置とか……ありえないんだけど」
混乱するわたしに、田辺さんが手の平サイズの黒い端末を見せた。
「見てください」
手渡された端末の画面に目を向けると、白の背景にサイコロのようなものが描かれている。
骨を組んで作られた六面ダイス。
半透明の表面に黒文字で『ARCANUM』と書かれていた。
「おっもしろいよねぇ~ これでゲームするんだって」
レミたんがわたしの肩に手をのせ、後ろから端末を指差す。
「これで?」
「ええ。それが参加者全員分用意されてあるんです」
田辺さんがそういうと、美知佳さん、レミたんが自分達の端末を取り出して見せてくれた。
二人とも田辺さんと同じ色、形のものだ。
金髪男と悠仁さんの手にも同じものがあった。
「参加者は全部で十一人。人数が揃ったらゲームが始まるんじゃないかと、ここの待機場所で待っていたんですが」
田辺さんが天井を見上げた。
そこに開いた大きな穴。
わたしと田吾作さんが落ちたところだ。
最初のコメントを投稿しよう!