闇の中の遊戯

6/12

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「え? 無理?」 「うん! 無理! だって運営の人なんて全然いないもん!」 「へ?」  思わず頓狂な声を上げたわたしに、美知佳さんが同情するような目を向ける。 「本当なの。私達はここに来て二時間くらいたつけど、ゲームの参加者以外この洞窟にはいないわ」 「じゃあどうやってゲームを進行するの? いつの間にかこんな場所に運んできて放置とか……ありえないんだけど」  混乱するわたしに、田辺さんが手の平サイズの黒い端末を見せた。 「見てください」  手渡された端末の画面に目を向けると、白の背景にサイコロのようなものが描かれている。  骨を組んで作られた六面ダイス。  半透明の表面に黒文字で『ARCANUM』と書かれていた。 「おっもしろいよねぇ~ これでゲームするんだって」  レミたんがわたしの肩に手をのせ、後ろから端末を指差す。 「これで?」 「ええ。それが参加者全員分用意されてあるんです」  田辺さんがそういうと、美知佳さん、レミたんが自分達の端末を取り出して見せてくれた。  二人とも田辺さんと同じ色、形のものだ。  金髪男と悠仁さんの手にも同じものがあった。 「参加者は全部で十一人。人数が揃ったらゲームが始まるんじゃないかと、ここの待機場所で待っていたんですが」  田辺さんが天井を見上げた。  そこに開いた大きな穴。  わたしと田吾作さんが落ちたところだ。  
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加