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「おっさん、まじうっざ! 子供に八つ当たりすんなっての!」
レミたんが三輪さんの前に立ち、非難するように人差し指を突きつけた。
三輪さんの顔が怒りからか赤くなる。
「なんだっ! 本当の事を言ったまでだろう! 実際そいつが優勝してみろ! お前達は納得できるのかっ?」
唾が飛んでくる勢いで捲し立てる三輪さんの言葉に、レミたんが一瞬怯んだ。
「だからってあなたが優勝しても、誰も納得しないんじゃない?」
智美から目を逸らし、三輪さんに向かって放ったわたしの言葉は思いのほかダメージを与えたらしい。
金魚みたいに口をパクパクとさせた後、額に何本も筋が浮いているのが見えた。
「か、関係ないやつが口を出すなっ!」
顔を真っ赤にした三輪さんが、物凄い形相でわたしの向かって近づくと右手を振り上げた。
(あ、叩かれる)
そう思い身構えたが、予測した衝撃はない。
見ると、いつの間にか移動した田吾作さんが、三輪さんの右手首を掴んでいた。
「女の子を叩いちゃだめよ」
田吾作さんは、三輪さんの手首を掴む手に力を込める。
三輪さんはぎょっとした顔で田吾作さんを見つめ、慌てて手を振り払おうとした。
しかし田吾作さんはびくともしない。
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