地底遊戯

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 テレビ番組の企画。  そういった智美の言葉を信じてしまいそう。  それ程に、目の前で展開される光景は、現実感というものがなかった。  タイミングを合わせて、端末のSTARTと書かれた赤い文字をタップしたわたし達。  画面は白く発光し、それと連携していたかのように、天井の照明が更に明るくなった。  洞窟の中だという事を忘れてしまいそうなほど、周りがよく見える。  ゲームのオープニングのような荘厳な音楽が、どこからか聴こえた。  皆ソファーから立ち上がり、キョロキョロと周囲に目を向ける。  が、ほどんど同じタイミングで一定の場所で止まる。  広い空間の左奥。  つまり、わたし達が座っていたソファーのすぐ近くの床に、白く発光した、四角いマスのような模様が浮かび上がっていたからだ。  それがひとつ、またひとつ、と道を描いているみたいに床に広がっていく。  そう、双六のコースみたいに。 「おお! まじで双六じゃん!」  金髪男が楽しそうに声を上げた。  それを舌打ちしながら見ていたのが三輪さん。  金髪男が気づき、 「あぁ? なんか文句あんのかよ!」 と声を荒げると、三輪さんはさっと顔を横に背けた。  その態度を見て、はっとする。  この人、自分より強い態度に出る人にはなにも言えないんだって。
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