恋人

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「明るいところは嫌です。」 シャツのはだけたたところを押さえながら俯く未来を、青島は軽々と抱き上げると、寝室に向かった。 そして未来の体を優しくベッドに寝かせると、バスローブを脱ぎ、その柔らかい体を潰してしまうことのないように気をつけながら、何度も唇を重ねた。 それはやがて下へと移り行き、ボタンが外れたシャツは、未来の体をいとも簡単に露わにしてしまった。 起伏が高くなろうとする柔肌にキスをした青島は、もう片方の丸みに手を這わせると、レースの感触をもどかしくなぞった。 未来の口から吐息が漏れて、青島は堪らず、少し乱暴に未来の体をうつ伏せにすると、とうとう指輪以外の全てを剥ぎ取った。 暗がりの中で、薄らと浮かび上がるその体の線は、想像していたよりも華奢で、愛しさを掻き立てる。 全てを手に入れたいという欲望にかられ、見える所は余す所なく、見えない所は探るように、繰り返しキスをしても、しかし叶えられることのない願いは、もう少しあと少しと青島を夢中にさせた。 幾重にも重なった薄いベールで覆っているものが、どれだけものなのか未来自身でさえ分からず、破られないように必死で守ろうとした。 それでも青島の執拗な追求に耐えられずに、ベールをめくられ、時には破られる度に、押さえきれずに喘ぎ声が漏れた。 「社長、もう…。」 未来は青島にすがりつくと、抗えない体の反応に、羞恥したのだ。 青島はそれでも、逃げようとする未来が許せず、追い求めるように峰に向けて駆け上がったが、遂に掴み取ることは出来ずに、勢い余って飛び立ってしまった。 どれくらいそうしているのだろうか。 二人とも黙ったまま、青島は未来の髪を撫でて、未来はされるがままに横たわっていた。 「すまない。途中から余裕がなくなった。」 青島は天井に向かって言葉を発した。 「嫌だったか?」 「いえ。」 「辛かったか?」 「…いえ。」 こういう時には何か言ってあげるべきなのか、未来にとっては難問で、んーと声が出た。 「どうした?どこか痛むのか?」 気遣う青島に、未来は尋ねた。 「いえ。あの、何か感想を言うべきですか?」 一瞬の沈黙。 「感想…、感想があるのなら聞こうか。」 未来は言われた通りに思ったことを、口にした。 「私、声を抑えるのに必死で。そういう意味では辛かったです。」 次の瞬間、青島は体を起こすと、未来を正面から見下ろした。 「抑えてた?抑える余裕があったのか。だから全然、足りないんだ。まだ手に入れた実感がない。」 言い終わると同時に、青島は強く唇を押し当てた。すると、体は再び未来を求め始めた。 未来はその重みで息をすることが出来ず、思わず青島の体を押し戻した。 はぁっ、と大きく息をした未来に向かって青島は 「抑えるな。全部見たい。全部欲しい。」 青島は自分を押し戻そうとする、その細い手首を二つまとめて片手で掴み取り、未来の頭の上に押さえつけた。 「嫌。」 恥じらう未来を、切なく見つめた青島は、優しくキスをして懇願するように言った。 「嫌なんて言うな。」 「ずるい。そんな顔しないで下さい。」 「拒否できないと言ったのは、お前だ。」 そうして青島は、今度こそ手中に収めたくて、先程よりも慎重に、そして丁寧に探り始めた。
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