恋人

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突然、ハッとして目を開けた。 青島は先に目覚めていたようで、未来が起きたとわかると、おはよう、と言って昨夜からそのままでいる体を抱き寄せた。 「何時ですか?チェックアウトは?」 「10時を過ぎたとこだ。チェックアウトは明日の11時だから心配ない。」 未来は、ガバッと起き上がった。 「明日⁉︎明日は月曜ですよ。」 「仕事は午後からだ。チェックアウトして、お前を送ってから出勤する。」 そんな…と言ったきり、動けないでいる未来を見つめる青島は、ほくそ笑みながら言った。 「どうでもいいが、朝からなかなかいい眺めだ。」 うつ伏せの状態で上半身だけ起こした未来は、慌ててベッドに体を押しつけた。 「せっかくのスイートルームだ。満喫しよう。もうこの時間だから、朝食は明日のお楽しみだ。」 どうやって眠りに就いたのか、覚えていない。 最後は駄々をこねるように、青島から逃げたような気がする。 「私、シャワーを。」 未来は着る物を探して辺りに手を伸ばした。その間にも、青島はあちらこちらにキスをしてくる。 「もう!少しほっといて下さい。」 未来はくすくす笑いながら、その唇に手を当てた。 「ほっとかない。ほっとけない。」 そう言って青島は、探して当てた寝間着を、未来に被せた。 なかなか離してくれない青島を、どうにか制してバスルームまで来ると、バスタブを目の前にしてお湯を溜め始めた。 シャワーを浴びて、まだ一杯になりきっていないバスタブに体を沈めて、目を閉じた。 青島のあの情熱は、仕事でも恋愛でも変わらないのだと知った。 更に恋愛には、過剰なほどの甘さも加わる。 彼は果たして、相手が私で満足出来るのだろうか、と不安になる。 未来のしてきた恋愛は、心の凪を保つためのものであり、うねりを楽しむようなものではなかった。 「ゆっくり出来たか?」 支度を整えてバスルームから出てくると、青島はリビングで新聞を読んでいた。 「はい、すみません。社長はシャワーしたんですか?」 「ああ。」 「全然、気が付かなかった。」 すると青島は、くくっと笑った。 「前から思っていたが、お前は良く寝るな。」 「すみません。」 「別に謝る必要はない。食事はどうする?ホテルのレストランに行くか、外に出るか。」 「どっちでも良いですが、うどんとかそばとかあっさりした物が食べたいです。」 そうか、と青島は少し考えてから 「街を少し歩いてみるか。アーケード街に行けば、何かあるだろう。」 と言うと立ち上がった。
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