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「ふー……」
商店街へ足を進めながら、思音は安堵ともため息ともつかない息をもらす。
家から遠くて時間をつぶすのに丁度いい、そこで思い当たったのが商店街だった。
今回はかなりの大げんかだ。大分時間が経たないとお母さんの怒りが消えることはないだろう。
そこで家から遠いところに行きたいと思い、夜十時くらいには帰るつもりで、財布だけを持って家を出た。
夕焼けの色に覆われた空を何とはなしに見上げる。
さっき学校から帰ったばかりと思ったら、もう夕暮れが始まっているなんて……そういえば宿題がまだ終わってなかったな。
現実的なことに気づいて一瞬立ち止まってから、まあ明日は土曜日だからと気を取り直す。
「ふー……」
二回目のため息をついてから、山の向こうに急ぐ太陽に影響されるように、思音も駆け足になった。
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