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悲痛な叫びが響き渡る教室は、先ほどとは異なる緊張で充満している。早く何かしないといけないような、言い得ぬ焦燥感を執拗に与えてくるばかり。僕は、スマホの上で視線と指をウロウロさせた。そしてどうすれば良いのか答えを探すように、皆へと目を向ける。
「なあ……これ、俺たちがタップしてランプつけないと、ずっと動かないんじゃないのか!? だとしたら町田がずっと苦しむぞ……!」
啓介の切迫した声色。たしかにチェーンソーは全く動いていない。ひたすら胸の浅い場所で血を浴びている。
「でも、こっ……これほんとに押して良いのかな」
困惑した沙羅の声が、深刻さを醸し出す。
「……やるしかないだろ。いくらなんでも、これはむご過ぎだ」
啓介はタップしたようだった。スマホを見れば、ランプが一つ灯っている。そして、それに続くように一つまた一つ……さらに一つと灯っていき、とうとう最後が僕になってしまった。もうタップするしかない。自分が殺すような感覚だ……クソ。
僕は、動きづらくなった指をなんとか動かして画面に触れた。最後のランプが灯ると、チェーンソーは胸にガシガシと食い込んでいく。それと同時に町田の悲鳴は消え……ビチャビチャと何かが流れ落ちる音が虚しく教室に響いた……もう最悪だ。前を見たくない。きっと、凄惨なことになっているに違いない。想像するだけで吐き気が……気持ち悪い。
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