【罪擦り編】

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 啓介は「待てよ落ち着け町田! まだ決まったわけじゃないだろっ!」と声をかけるが、パニクっているようで必死の形相になっている。その気持ちは分かる。僕がさっきそうだったんだからな……。 「あたしじゃないんだよ! だいたい恨んでるやつなんていないしっ!」  すると、行方を見守っていた神保さんが「でも、私恨まれてるかも……しれないわ」と口を開いた。町田は、もがく動きをぴたりと止めて振り向き「……は?」と力無い声。 「前にわたし、調子に乗ってるとか……目の前で言われたことあったから。だからまだ恨まれてるのかもって、いま思ったの」 「……い、いやっ何言ってんの。それは一年の時の話しでしょ? なんでそんなのいまさら、ありえないから! ふざけないでよね!」  おいおいこいつ、神保さんにそんなこと言ってたのか。許せない……僕としては処刑決定だぞ。  青山は町田の肩を掴み、席に抑えつける。 「おい、もう諦めろよクソが。てめえのせいで迷惑してんだよ。グルは梶ヶ谷か?」  梶ヶ谷は慌てた様子で「な、なんで……知らないよっ!」と声を上げた。 「……だからあたしじゃないし! グルとか知らないって言ってんじゃんよ!」  これに荏田は空笑いを響かせる。 「いやいや町田さぁ。いま実際に、真理亜恨んでたって事実が出たんだよー? しかも裏アカで好き放題、愚痴こぼしてんのも知ってるし。もう決定だっての。絶対こいつだわ。普段から変なオカルトしてんのもさぁ、マジで怪しすぎでしょ。そう言う関係で、この変なのも見つけたんじゃないわけ?」
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