【罪擦り編】

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 たしかに、呪術なんてものに興味を持っていると、こういうことをやりかねないか。じゃあ町田が教師で正解か……? 考え込む僕の前で、青山は舌打ちを響かせる。 「ったく町田はよ、一年の頃から空気読めないでいたもんな? お前さ、省かれ気味になったのは、自分が原因なの分かってねえのか? 考えてみりゃそうだわ、こんな自己中女だったらやりかねないだろ」 「そうそう、だからもう町田は確実なわけ。あっはは、仕返しできずに残念過ぎるけどね」  すると町田は鬼の形相になり、荏田を睨み始めた。 「はああっ!? なんでっ!? ふざけんなよっ、ウザすぎんだけど!!」 「おい荏田、傑も! 煽るなやめとけ。町田もちょっと落ち着けよ!」  啓介は、町田を抑えるのを青山に任せると皆へ目を向けた。 「みんな聞いてくれ。基本的に、誰が誰に投票したのかは分からないわけだ。町田を疑ってない人だって、この中にいるはず。だから落ち着いて話をして、投票を各々で決めればいい。  特に最初は、教師を当てないと犠牲が生まれてしまう大事な局面だろ。ちゃんとした話し合いが必要だ。まだ、町田や梶ヶ谷と決まったわけでもないしな……町田、お前もいいか?」  バンッ! と町田は机を一叩き。そのまま顔を伏せて泣き崩れてしまった。  聞いた話と素行的にはやりそうだが……本当に教師なら、こうやって取り乱して泣くのだろうか。あまりにも単純すぎやしないか? 疑心暗鬼とはまさに、今の心境を言うのだろう。僕にはさっぱり、誰が教師であるかの見当が付かなくなってしまった。
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