223人が本棚に入れています
本棚に追加
そういや、町田は反論することを止めてしまったようだ。すっかり憔悴してしまっている。この姿を見れば、教師ではなさそうな心象を受けるが……これは演技なのだろうか。ダメだ、分かんない。そして今も、教師はこの中に隠れて演技をしているということだ……よく考えると怖い。頭がこんがらがっていく一方の僕は、答えを求める様に啓介を見やった。
「んん……決める要素にはならないけど、こうして地道に探っていくしかないか。皆の素直な意見が聞きたいところだな。ここにいる誰かに纏わるエピソードがあったら、隠さずに言って欲しい」
すると「そうだね」と同意する沙羅の声。
「私も、できるだけ皆の意見とか情報を聞きたい。誰かを恨んでそうな関係だったり、何か気にしてそうな人がいたとか、睨んでたとかの些細なことでも良いんだ。何か、無いかな……?」
僕は神保さんをこっそり観察することと、沙羅や啓介と他愛ない会話をする程度だ……役に立てそうにはないな。しかし青山は心当たりがあったようだ。
「そういや梶ヶ谷。お前、永田のこと結構睨んでたよな? もしかして何か関係してんのか?」
梶ヶ谷は動揺した様子で「えっ……!?」と声を漏らした。そう言えばそうだ。僕は梶ヶ谷とよく目が合う。なんで僕を見てくるのかとは思っていたけど、もしかして恨まれていたのか? でも心当たり何てないぞ。
最初のコメントを投稿しよう!