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すると、とうとう俯いて黙りこくってしまった。これはどういうことだ……こんなの町田より怪しいじゃないか。少なくとも僕にとってはだが。まさか梶ヶ谷が教師なのか?
そして数秒の沈黙が場を支配したところで、沙羅が「ちょっと、一回まとめない?」と提案し始めた。
「いまいろいろ情報が出てきて、判断材料が増えたわけだよね。最初は漣君を疑ってたでしょ? その次に町田さん、いま梶ヶ谷君って来てる。
このままだと散らかっちゃうと思うし。ここで一度、一番怪しい人を指さしで決めて、その人の言い分をしっかり聞くっていうのはどうかな?」
これに啓介は深く頷く。
「ああ、それがいいかもな。結局、曖昧な議論で票が分かれたら、無駄な犠牲が出るかもしれない、一定程度は固めた方が良いだろ。そのきっかけとして、一番疑わしいやつを確認する作業は大事だな。そうすれば本人の弁明の機会も生まれるし、擁護する意見を募ることもできるわけだ」
この提案に反論する者は出ず、嫌疑の強い者を決める場が設けられることとなった。確かに弁明する機会を、しっかり与えるのは大切だろう。さっき僕には、それさえも与えられなかったのだから。その必要性は痛く感じるところだ。こうやって、民主主義が出来上がるのだろうか。
そして、最も指さされた者は町田だった。そりゃそうなるか……呪いとか関わっている時点で怪しいわけだからな。町田も予想していたのか、たいして反応を見せず。沙羅は情けを漂わせる顔で口を開いた。
「……ねぇ、町田さん。いま一番みんなに疑われてるけど、何か言いたいことあったら、ここでしっかり言って? じゃないと、ほら疑いが晴れないよ?」
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